2008年4月2日水曜日

写真に撮れない

パオラ・アントネリとマンデルブローの対談の中で、アントネリがコープ・ヒンメルブラウの建築のことを、数理的確証なしに体験するしかないもの、と言っていた。なんかこう、すごく腑に落ちる。

人の認知科学的理解と人生を生きることの乖離にそのまま対応する問題意識が建築の中にもあるのだ。もちろん統計的一般的性質というのは人の中にもある(それが相互理解のベースになってるはず)わけだけど、最終的理解は一回性のもとにおいてしかあり得ない。

折しも、GrazのKunsthausを訪れたばかり。アントネリがやはり下で言ってるけど、写真に撮れない。遠景で全貌を写真に納めたところで、それは「kunsthausではない」。私の体験したkunsthausではない。それは単に「写真は実物とは違う」ということじゃなくて、kunsthausはこの身体を使って体験するしかない、そういう建物だったということである。

また、折しも訪れたポルシェ本社。間近で見たBoxterの曲面のなんと美しいこと!それは明らかにカタログの図面や写真とは全く異なる体験の内容だった。


Seed: Paola Antonelli + Benoit Mandelbrot: "Some of the most recent architecture—and in particular I was studying the work of Coop Himmelb(l)au, an architectural group from Austria—could not be represented anymore through plans, sections, and elevation. There was no way. Not even with axonometry. Or perspective. Normal geometry just did not work.

Also, you couldn't photograph it; pictures wouldn't render the spaces at all. The only way was to experience them. And somehow, without really having any mathematical or any theoretical proof, I thought there was a connection between your book and this kind of architecture."

Apr16-18:多次元共同脳科学推進センターKOシンポ

岡崎の生理研で、

多次元共同脳科学推進センター キックオフシンポジウム

が開催される。この内容はすごい!
絶対お得!BCIを視野にいれているなら絶対行くべき。

音声研究で言うところのAnalysis by synthesis的アプローチが
今後の認知科学や脳科学の中で重要な部分を占める
ことになるのはほぼ確実、ということだろう。

アートとサイエンスの融合

とだけ言ってしまうと今や
何のコノテーションも喚起しない
クリシェに終わるが、

なるほどそれはこういうことでもあるな、
というアワードが今年も始まった。

Wellcomeコレクションというのは、
英国のWellcomeトラストによって
運営される科学映像のコレクションで、

このコレクションでは、美的な観点から
科学映像を評価するアワードを
開催しているのである。

WIA:Wellcome Image Award


本来の機能とは必ずしも関係なく
シビレたかどうかだけで評価しよう、
っていうのは好きなスタンス。


サイエンスがアートに色目を使うのよりはね。


それにしても、美しい・・